茨城県の猫殺処分推移(2014年8月初掲載)

2016年12月14日update

茨城県では、猫の殺処分数の減少が近年鈍いことが問題です。

 

下図に犬猫別殺処分数の変化を示します。

平成24年度以降、犬の殺処分数よりも猫の殺処分数が多くなっています。

 

 

 

下図に、茨城県が犬・ねこの殺処分数の多さで、47都道府県中何位に位置するかを示しました。

(平成16年度~平成23年度は地球生物会議発行「全国行政アンケート結果報告書」の平成16年度版~平成23年度版の県別データから、平成24年度~平成27年度は環境省の県別データから、茨城県の順位を求めグラフ化しました。)

 

 

 

猫の殺処分数の多さは、平成23年度までは、47都道府県中、20位前後で、ほぼ全国の中位に位置していましたが、平成24年度以降、徐々に順位を上げ、平成27年度は10位、他県に比べてねこの殺処分数順位があがってきています。

 

これは、茨城県は他県に比べ、猫の殺処分数の減少が鈍いためです。

下図に、平成23年度と26年度の、茨城県の44市町村別猫引取り数分布のヒストグラムを示します。引取り頭数は市町村間の比較が出来るように、一万人当たりに直しています。

 

平成23年度から平成26年度で、引取り頭数が減っている市町村と増えている市町村が混在しています。また、全体として、引取り頭数が少ない市町村が増えているとは言えない状況であることがわかります。

 

 

猫の引取り数減少に向けて各市町村の前向きな取り組みを望みます。

(=>茨城県の不妊手術助成金の現状(ぜんこく犬猫助成金リストより))

 

 

下図に平成26年度の、中核市(殺処分数の統計のある中核市)の猫殺処分頭数と、茨城県市町村の猫引取り頭数のヒストグラムを示します。比較するため、一万人当たりの頭数に直してあります。

 

中核市のグラフは左側に高くなっており、殺処分数が少ない中核市が多いのに比較して、茨城県の市町村は、右にも広がったグラフになっており、引取り数が少ない市町村が少ないことが分かります。

 

 

 

下図に、近年の猫殺処分数の千葉県との比較を示します。

(平成16年度~平成23年度は地球生物会議発行「全国行政アンケート結果報告書」の平成16年度版~平成23年度版の県別データから、平成24年度~平成27年度は環境省の県別データからグラフ化しました。)

 

千葉県は、平成16年度は、茨城県よりも猫の殺処分数が多く、全国2位の殺処分数の多さでした。

 

しかし、その後、茨城県が殺処分数の減少が鈍く、平成27年度では殺処分数の多さ全国10位の状態に対して、千葉県は殺処分数が大きく減少し、平成27年度では、殺処分数全国23位にまで改善しています。

 

 

下図に、近年の猫殺処分数の埼玉県との比較を示します。

(平成16年度~平成23年度は地球生物会議発行「全国行政アンケート結果報告書」の平成16年度版~平成23年度版の県別データから、平成24年度~平成27年度は環境省の県別データからグラフ化しました。)

 

埼玉県は、平成16年度は、茨城県よりも猫の殺処分数がやや多く、茨城17位に対して、埼玉16位の殺処分数でした。

 

しかし、その後、茨城県が殺処分数の減少が鈍く、平成27年度では殺処分数の多さ全国10位の状態に対して、埼玉県は殺処分数が減少し、平成27年度では、殺処分数全国43位となるまで改善しています。

 

 

茨城県では、平成24年度以降、猫の殺処分数の多さの順位が上がってきています。

下図に、関東地方の各県における、平成24年度の前年の平成23年度と、平成27年度の猫殺処分数を示します。

(平成23年度は地球生物会議のアンケートデータから、平成27年度は環境省ホームページデータから求めたものです。)

 

 

茨城県でも猫の殺処分数は減少していますが、他県は茨城に比べて大きく減少しており、平成27年度でも茨城の殺処分数は相対的に多いことがわかります。

 

 

茨城の動物指導センターに引取られる猫内訳

 

 

下図に、茨城県動物指導センターに引取られる猫の内訳を示します。

(県ホームページから得られたデータをグラフ化しました。)

引取られた猫の多くが殺処分されます。

 

 


図を見ると、引き取られる猫の多くが仔猫であることがわかります。

猫の引き取りを減らし、その結果として、殺処分頭数を減らすためには、

猫の繁殖制限(獣医師による不妊手術)の推進が重要であることがわかります。



殺処分数と死体収容数


下図に、猫の殺処分頭数の推移と共に、猫の死体収容状況の推移を示しました。

また、殺処分数と死体収容数の関係もグラフ化しました(グラフのH22は平成22年度のことです)。

(県ホームページから得られたデータをグラフ化しました。)

 

 

 

 

死体の収容とは、市町村が収容する猫の死体です。

猫は、殺処分数の減少が鈍いのみならず、死体の収容が多いことも問題です。

殺処分数と死体の収容数は弱い負の相関があります。(相関係数-0.45)

この負の相関から以下のことが考えられます。

     ↓

(遺棄された猫が、もしくは、繁殖制限されずに繁殖した猫が、

 動物指導センターへ引取られた後に殺処分されるのではなく、

 捨てられた場所や繁殖した場所で給餌されなくなったり、交通事故にあい、死に至る)

 

この原因の多くは、適正とはいえない飼養や、遺棄などの人為的なものと考えられます。

 

発見した死体を庭などに葬ることもあるため、死に至っている猫の数はこの数字よりも多いと考えられます。

 

遺棄をしないこと、

給餌の中止ではなく、繁殖制限(獣医師による不妊手術)を実施すること、

が重要です。

 

下図に比較のため、犬の殺処分と死体収容頭数の推移を示します。

(県ホームページのデータよりグラフ化しました。)

犬では、猫とは異なり、死体の収容頭数は少ないことがわかります。